Asia Triennial Manchester 2018

マンチェスターには下見も含めて8日ほど滞在したが、その間、空が晴れ渡るのは一日の内わずかな時間だけ、殆どが曇天と時折降る冷たい雨、もともと雨が多い土地らしくそれが屋内での音楽活動や芸術文化を育む要因だったようだ。
綿などの工業都市としても知られているが、町中に点在するミツバチのシンボルマークから労働が市民の誇りになっているものと見受けられ、個人的に絹産業で経済を支えて来た地元群馬県に重なる気がして親近感を覚えた。わずかな期間だったが人々は温かく落ち着いた性質のように感じられたのはそのせいかも知れない。
マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)は中世のゴシック様式に見られる垂直構造が大きな特徴になっている。先の大戦でマンチェスターはドイツによる大規模な空襲を受け大聖堂も大きく損傷したが20年に及ぶの修復工事により現在はその爪痕を伺わせるものは殆ど残っていない。だが、一部のステンドグラスなどちょっと違和感を覚えるデザインの新しさはそう言うことなのかと思い当たった。
大聖堂内部は外から見た印象よりずっと広くて高く感じる。長い年月によって蓄積されたかのように漂う空気には厚みがあってよりいっそう荘厳であり、それでいて威圧的ではないのは人々にそれだけ親しまれているからなのかも知れない。
実際この展示をさせてもらえる時点で広く扉が開かれているのは確かで、会期中もパーティ会場になったりチャリティバザーが行われたりと多目的ホールとしての要素も担っているようだが、もしかしたら財政的な事情があるのかと勘ぐったりする。しかし厳粛なるミサも執り行われ敬虔な信者が集い祈る場に居合わせると身が引き締まる思いもした。
もともと観光目的で訪れる人が多い大聖堂の性質からは異質とも言える展示作品を彼らの目がどう捉えていたかは確かめようが無かったが、いぶかりながらも足を止めて見入る人たちの様子を眺めながらこの日本の片田舎に生きる農夫の顔が彼らの前で堂々としていて誇らしく思えた。
設営を終えて町中をぶらつきながら何の気なしに立ち寄った建物の内部があまりにも神々しいので驚く。そこが世界で最も美しい図書館の一つ、マンチェスター大学のジョン・ライランズ図書館だと言うことを後で知った。ふらりと入っただけでも数百年の時間の深淵を覗ける入り口がそこらに開いているのだから、この国から「魔法使い」の物語が生まれても不思議ではないのだろう。

Asia Triennial Manchester
10/5-21 2018,Manchester
http://www.atm.mmu.ac.uk/



土と太陽の記録 Record of the earth and sun/設営風景/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/設営風景/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/H2000mmxW1250mm/ケント紙に鉛筆/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/H2000mmxW1250mm/ケント紙に鉛筆/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester


土と太陽の記録 Record of the earth and sun/マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral)/Asia Triennial Manchester









Asia Triennial Manchester
http://www.atm.mmu.ac.uk/

Kosuke Iizawa
Record of the earth and sun
Saturday 6 – Sunday 21 October 2018

Sunday-Thursday: 8:30 - 18:30
Friday-Saturday: 8:30 - 17:30

These large scale pencil drawings show the faces of elderly agricultural workers from Gunma Prefecture, Japan. Having carried out this physical work for such a long period of time, these people have developed their own deep, meaningful relationships with the land. The marks and lines on their faces, earned from years of working in the fields, become a type of record of the landscape. The artist uses this monumental scale to examine all of these people in intricate detail, to show the many years of their lived experience.

The exhibition will be closed at the following times:
11 October all day
13 October from 12-4pm
16 October all day
18 October from 9.30 - 12pm

Kosuke Iizawa is a visual artist from Yokohama, Japan, now based in Tokyo, Japan. In 1994 he graduated from Tokyo National University of Fine Arts and Music’s postgraduate programme, and regularly exhibits in Japan and internationally.

Image Credit: Record of the earth and sun', 2017, pencil on paper.

Supported byDaiwa / Sasakawa

Manchester Cathedral
Victoria Street
Manchester
M3 1SX




back

























 

     KOSUKE IIZAWA WebSite -美術家 飯沢康輔の作品と展覧会のご案内-

      profile works information workshop youtube mail blog