3331アンデパンダン・スカラシップ展
前期出品作家:飯沢康輔、TETTA /
2011年03月18日(金)~ 2011年03月28日(月)
休み: 火曜日、2011年03月29日(火)~2011年03月31日(木)
時間:12:00-19:00  金土は20:00まで
会場:3331 Arts Chiyoda 1F メインギャラリーB
   http://www.3331.jp/schedule/000857.html
   〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14

作家コメント
物質も生命も常に運動し、誕生と消失の間で揺らぎ続けています。それらはエネルギーの現れ方であり、方向であり、相互に影響し合いながら調度良い形態を自ら選び出そうとしています。均等は必ずしも重要ではなく、むしろ破壊と修復の連続そのものが本質であるかのようです。
Comment.
Material and life are habitually carried along, and continue to fluctuate between creation and destruction. This is a way or energy, a course of direction, these two poles mutually affecting each other while trying to find the perfect from.
Equilibrium is not necessary, the continuous cycle of destruction and renewal is its very essence.

3331からのコメント
ノートのラストページに置いた花の輪郭にそって表紙まで順に切抜き、ノート全体に行き渡る波紋のような作品を展示した飯沢康輔。”生命、サイクル、リズム”をテーマとし、儚さと美しさを兼ね備えた作品は鑑賞者の心を掴み、一般投票で見事1位を獲得。

Comment from 3331.
Iizawa's works delicately cut the silhouette of a flower from the last page of a note book through to its very front, forming a continuous ripple throughout its from. Taking "Life Cycle Rhythm" as its theme the work of Iizawa combines loss and beauty, which touches the heart of the viewer, and has gained it first position in the audience vote.



3331アンデパンダン・スカラシップ展 / 展示風景 / 2011


波紋ノート : 夏草、冬草 / ノート、押花 /2011

 
波紋ノート : 夏草、冬草 / ノート、押花 /2011

  
波紋ノート:冬草 / ノート、押花(冬の草花) / 2011

 
陽暦、陰暦 / ノート、押花 / 2010


陽暦、陰暦 / ノート、押花 / 2010

 
マーブルライツ / 折紙、ミラボード、ガラス / 2011

 
Field records / B5ノート、押葉 / 2011


Field records / B5ノート、押葉 / 2011

 
冬のエントロピー / B5トレーシングペーパー、写真、ガラス / 2010 季節の遺伝子 / B5トレーシングペーパー、写真、ガラス / 2010


草稿 : 波紋、落下 / 原稿用紙、ゴーヤの種 / 2010


草稿 : 波紋、落下 / 原稿用紙、ゴーヤの種 / 2010



「波紋ノート」について
このシリーズを始めるきっかけは、化石を使った作品を手がけるようになってからだと思います。化石を探して地層を剥がして行く作業が、まるで時間のページをひも解いて行くかのようで地層そのものが途方もない時間を封じ込めた書物なのではないかと想像しました。地層は幾重もの時代の層に区分されていますが、厳密な時間の単位は示しません。見ようによっては一瞬一瞬が封じ込められているとも言えるでしょう。
地層をこれ以上に細かく分けられない最小単位に行き着いたら、それは時間の最小単位、つまり時間の原子の化石だと見る事ができないでしょうか。化石とは封じ込められた時間の単位だとすると、言い換えれば時間を封じ込めたものが化石なのかも知れません。
それでは、押花とはなんでしょうか。もしかしたら、花に時間を封じ込めた新鮮な化石ではないか、と言う考えから「波紋ノート」が出発しました。この時から身近に咲く花を集めては押花にする作業が日課のようになったのです。それにしても花とは不思議な存在です。季節の到来を花を咲かせる事で報せますが、一斉に咲き誇る花を見ると、それはまるで花自身が季節を産み出しているかのように見えます。花は私たちや多くの生き物にとって、自然の営みを育むための、かけがえのない道しるべなのでしょう。
押花を作るようになってからは、町を歩くときも、つい花を探して目を地面に這わせてしまいます。そうして気付いた事は、都会では多くの花を見つけ出せるという発見です。もちろん人工的な植え込みや、家庭の園芸など町を華やかに彩る花もたくさんありますが、それとは全く異にした、自発的に咲く花がコンクリートの割れ目や溝に溜まった僅かな土から顔を出しているのに出会います。それはあたかも、都会では見えにくくなった自然のサイクルを静かに示すかのようで、こことは違う大きな時間の流れの中に属している事を思い起こさせます。花を見つめていると何か時間の秘密を明かしてくれそうな、そんな錯覚を覚えてなりません。
押花と枯れた花は異なります。枯れた花には時間の進行がありますが、押花は時の流れから切り離された姿なのです。時を象徴するものとしてもう一つ、ノートがあります。私は真新しいノートを手にすると、なにか新しい未来が始るような思いにとらえられます。ページに記す度に歴史は構築されながら無垢の未来に進行して行きます。そのたくさんの可能性を秘めたノートの底に眠る押花の時間を掘り起こす作業がこの「波紋ノート」です。花の輪郭にそってページを一枚一枚切り広げることで、水面に浮かぶ波紋のように、封印されていた時間が解き放たれる軌跡を示します。
2011/3

 

 

back

 

     KOSUKE IIZAWA WebSite -美術家 飯沢康輔の作品と展覧会のご案内-

      profile works information workshop youtube mail blog